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ブログ/2017-05-14

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研究者をめざす若い方たちに贈る言葉

さわやかな5月.
木々の緑も空の色も一斉に輝きだしました.
春です.遠くの山の雪も少しづつ減っていくのがわかります.

この時期,「これから研究の道に進もう」,と元気にスタートされた方もおられるでしょう.

そこで,スタートされた方たちに何か役に立つことがないかと,古びた記憶を振り返り,考えてみました.

柔道,剣道,茶道,・・と何ごとにも達成するための「道」があるとすれば,研究にも「道」があるかもしれません.「研究道」.
もし,それがあるとすれば,その核心・極意は何なのか?

私は,それは「妥協しない」ということにあると思います.
そのことを学んだのは井尻正二氏の「科学論」でした.私は,彼の科学論の中心はこの「妥協するな」という否定的精神につきると思います.

「・・・独創の真因と仮説を発想させる要因として、つぎの三つを指摘しておく必要があるであろう.それらは、すなわち、否定心、反逆心(反抗心)、懐疑心(疑念)の三つであり、これらをまとめて、著者が否定的精神といっているところのものである.

どんな天才的な直観でも、それが、それまでしられていた公理的な事実も、事実でないといって否定しさり、既存の法則も、それがあくまで相対的な意味で正しいものであるがゆえに、たえずうたがってみ、教科書的な定説には反抗するといった精神につちかわれた、否定的精神から爆発してほとばしりでた直観でなければ、新鮮な、独創的な仮説をうみだすことはできないであろう.また、観察的な仮説の抽出過程や、実験的な仮説の抽出過程でも、教科書的な事実を否定しさり、先輩や先生の意見に反逆し、過去の業績をうたがうという全然あたらしい物のみかたや、先人がまだ手をそめていない実験を敢行するという態度でなくては、独創的な仮説がうまれてくるはずがない. 経験的な仮説の抽出過程でもおなじであって,これまでの古い技術に不備に目をつぶらず,独自のあたらしい技術でもって反抗し,われわれの日常生活の問題でも,懐疑心をいだくようになり,生活態度に批判や努力の必要を痛感する者でなくては,既存の法則の不備や,いわゆる原理とよばれる大前提の欠陥が感受され,あたらしい仮説が発創されるわけはない.また,理論的に思索するといったところで,すべてのものに満足し,飽満しきっている理念には,万事が調和,ないしは,完結体と理解されて,否定し,懐疑し,反逆する何物をも認めないために,あたらしい仮説がでてくるわけがないであろう.・・・・・しかし,いずれにしろ,独創への通路はこれ以外には絶対にのこされていないことだけは,はっきりした事実である.・・・・」(科学論 pp58-59.築地書館(1966年版))

井尻氏はこの本を,たしか彼の20代の戦時中に書かれたと,どこかで読んだことがあります.簡潔でするどい言葉の端はしからからも,そのことは伺えます.

では,その否定的精神をどうやったら,身につけることができるか?

彼は,生活のすべてにおいて「否定的な生き方」をすることを主張し,そうすることによって否定的精神が生まれ,独創的な研究ができると言いきっています.

「否定的な生き方」とは「納得できないことに対しては,妥協しない」ということであると,私は思っています.彼の言葉を言い換えれば,「妥協から創造は生まれない」.

50年たった今,振り返ってみて,何度もそのことの大切さを見聞きし,自分でも少なからず経験してきました.

ただ,私は否定的精神を貫いて生きてきた,と,とても胸を張って言えるわけではありません.多少ともそうであろうと,あがきはしてきたつもり,といえる程度です.

それでも,敢えて,「井尻氏の科学論はそのとおりだ」と,確信をもって言うことができます.

新たな道に進もうとする方たちへの,「はなむけ」の言葉になればうれしい.そして,ぜひ,この「科学論」を手に取って一読されることをお勧めします(K).

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