Quick Homepage Maker is easy, simple, pretty Website Building System

針状貫入式硬度計

針状貫入式硬度計

はじめに
 この畑の土は硬くて根が表層にしかない,剣先スコップで掘るのに一苦労する。また,別の土は雨水を含むと大変軟らかくなる。このような,土が硬い軟らかいという言葉を日常的に使う。しかし,土の硬さとは何だろうかと考えるとそう単純ではないようだ。そして,硬さを測る道具の形状や大きさはまちまちである。我が国でよく使われる山中式硬度計は先端が鋭角の円錐形をしており,土の硬さは円錐が土柱に入った深さ(mm)で表示する。一方,コンペネ(cone penetrometer)と称される貫入式硬度計は円錐が土をかき分けて進む際の抵抗を圧力(Pa)で表示する。山中式硬度計とコンペネの測定値の間には相関があるにせよ測定原理自体が異なる。世界的に見ても,土壌硬度計と称される道具に統一した基準や規格はない。

以上のことから,ある平面内の土壌硬度分布を知る,充塡土を用いて土壌硬度と根伸長速度を関係づけるといった場合には,自作の硬度計で差し支えない。

土の硬度を測定するとき,硬度計を挿入した部分の土は均一と仮定する。しかし,植物根を対象とした場合,硬度計の直径に比べて根は非常に小さい。そして,自然の土は,強弱はあるにせよ構造を有しており,植物根の分布を観察すると間隙構造の影響を受けていることが分かる。根が侵入出来ないような硬い土でも,1 cm2の土壌断面に直径1mmの根が2~3本入っていれば,軟らかい部分がわずか2~3%連続していれば,この根が水吸収に果たす役割は無視できない。このような背景から,針状貫入式硬度計を作った。

硬度計の構造
 写真1のように,ガラス製の注射円筒の注射針を付ける側にビニールチューブを介して圧力計を取り付け,ピストン側には直径1.1 mmのドリルの刃先を埋め込んだアクリル製の丸棒をアラルダイトでピストンに接着した。丸棒はピストンに接着する側は平らにし,中心に穴を開けドリルの刃先を差し込みアラルダイトで固定した(写真ではアクリル丸棒の先端を円錐形に削っているが,円錐形にしなくてもよい).注射円筒はプラスチック製に比べてガラス製の方が滑りはなめらかで使いやすい。写真の圧力計はコパル製の100 kPaまでの空気圧測定用である。1.1 mmのドリルを選んだ理由はたまたま折れたドリルがあったからであり,0.8 mm~1.2 mm程度の丸棒(ドリルやステンレス棒)で良い。

 

写真1
     写真1

 

気を付けること
 丸棒の断面積は小さいので,貫入深が長くなるほど側面の抵抗が卓越することになる。そこで,貫入深は正確に5 mmとなるように目印をつけた。しかし,時には5 mmになる前に礫に当たり,最大値を示すこともある。貫入速度は自分が操作しやすい速度で構わない。丸棒を貫入中に圧力計の読みは大きく変化するので,正確な値を得るよりも大まかな値でも最大値を得ることを心がける。空気圧を使うよりも水圧計の方が適当かも知れない。表示は圧力なので,硬度計でバランスを押すことで,圧力計の圧力を力に変換し,この力を丸棒の断面積で除して貫入力(bar)を計算した。最初に述べたように,硬度には基準がないので硬度分布を表すためには,最も硬度が高かった圧力計の読みを100としても良い。

写真2(測定の様子をデモンストレーションしている)のように,1 cmの格子を作り,格子の中央で510点測定したときの硬度と頻度の関係を図1に示す。貫入抵抗の平均値は35.7 barであり,20 bar以下の点は4%にすぎない。しかし,根が貫入する限度が20 barとしても,前述のように4%の根量は無視出来ないという説明にこの図を使った。(H)

 
 

写真2
     写真2

 

図1
     

powered by Quick Homepage Maker 4.91
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional