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風乾土の定義と実際

風乾土の定義と実際

 土壌の風乾とは、採取した土壌をバットなどの容器に広げ、室内空気にさらして十分な時間をおき、土壌水分が十分に蒸発した状態をいう。厳密に言えば、土壌水分のポテンシャルと室内空気中の水蒸気ポテンシャルが一致したときが、真の「風乾」状態である。

ところで、室内空気というものは、季節や天候、時には室内空調などに大きく影響され、その温度や湿度は常に変化しているから、「風乾」状態の定義は本質的に曖昧とならざるを得ないのではないだろうか?

風乾

この疑問に答えるために、室内空気の状態を定義してみよう。室内空気の温度をT℃、相対湿度をhr%とすると、この空気の水分ポテンシャルΦwは次式で定義される。

         φw=RT/Mg ln⁡(hr/100)

ここで、Φwは水頭値mH2O単位で表した室内空気の水分ポテンシャル、Rは気体定数(8.31 J mol^-1 K^-1)、Tは温度(K)、Mは水のモル質量(0.018 kg mol^-1)、gは重力加速度(9.8 m s^-2)である。この室内空気と土壌水分が平衡したときが「風乾」状態である。問題は、温度Tや相対湿度hrが時間と共に変化している状態でΦwの値が確定しないことである。

そこで、実際に計算してみよう。いま、室内空気が20℃、65%であるとしよう。上式にこの数値を代入すると、直ちに-5946mH2O(pF5.8)という水分ポテンシャル値が得られる。この部屋が、夜になって気温が下がり湿度が上昇することにより、室内空気が10℃、90%になったと仮定してもう一度水分ポテンシャルを計算すると、-1405mH2O(pF5.1)となる。pF5.8とpF5.1とでは、確かに数値上の違いはあるが、どちらも植物の永久しおれ点pF4.2よりずっと大きな値であり、土は十分に乾いている。つまり、室内空気の温度、湿度状態が多少変化しても、土の水分量はそれほど大きく変化しないので、この空気に触れて平衡している土壌の水分状態を「風乾」と定義しても良い、と言えるのである。実際、ほとんどの土壌では、pF5.8の含水率とpF5.1の含水率とで、非常に差が小さい。こうした事実から、「風乾」状態の土壌を定義する際、室内空気の状態を厳密に指定する必要を生じないのである。

ただし、室内空気の温度20℃、相対湿度が99.9%という風呂場並みの室内空気である場合は、水分ポテンシャルが-13.8mH2O(pF3.1)となるので、これと平衡する土壌の含水率は植物の永久しおれ点(pF4.2)よりも大きくなり、「風乾土」と呼ぶべきではない。したがって、「風乾」状態の土壌を定義する際には、あくまでも通常の室内空気との平衡を想定すべきであろう。

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