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ブログ/2016-11-01

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現在の農法は水田のもつ機能を十分利用できていないのでは?

先日,垂柳遺跡を見学したことをこのブログで紹介した.その遺跡の上に,今年も豊かにイネが稔っていた.2000年以上を経て,今も同じ場所でイネが栽培されている. (写真)

画像の説明

もちろん,栽培方法は2000年前とかなり異なっている.現在の水田の慣行栽培では,肥料や農薬をふんだんに使い,作業は機械で行い,安定した収量を得るまでになっている.その一方,この慣行栽培法は水田だけでなく周辺環境に生態的な負荷をかけていることは周知の事実である.

ところが,化学肥料も農薬もなかった江戸時代の農書に, 品質のいい米を多収できる方法が書かれていることを知った(土壌の物理性,132,55-59(2016)).7~8回にも及ぶ多数回の中耕除草である.そのことを,再現してみようと,10年前に,当時,農家で社会人学生として大学院生になった荒生秀紀氏と一緒に「無肥料・無農薬で多数回除草によって多収する」という挑戦を始めた.この間,さまざまな試行錯誤を繰り返したが,最近,ようやく,慣行栽培並み,時にはそれ以上の収量を得ることができるまでになった.

無肥料・無農薬で慣行栽培並みに収穫できるということは,水田に養分を十分自給できる機能が備わっているということである.また,病気や虫に対する防御機能もイネを含めた水田にあるということになる.そうとすれば,現在の農法が水田のもつ機能を十分発揮させるだけのレベルに達していないことを示しているのではないだろうか.言い換えれば,少なくとも明治以降の150年間,それらの機能を十分活用するための開発努力をしてこなかったのではないだろうか.

この原因はひょっとしたら,「近代科学」がもつ弱点によっているのかもしれない.近代科学は分析を得意としている.細かく現象を分け,それについて詳細に解析する.例えば,土の熱伝導現象の解析のように.これとは対極に位置するのが,「総合」である.生物生産を行う農業は「総合」そのものである.けれども「総合」を対象にした科学は,いまだ不十分である.とくに,作物生産のように作用する要素が多く,要素間にも相互作用が働いている複雑な系では難しい.

水田のもつ機能を十分利用した,人にも自然にもやさしい,低コストの新たな水田農法はできないか,と思いつつ,来年の実験計画を考えている(K).

・・・・ 過去のブログ記事・・・・

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2016-09-29 How water drops impact soil surfaces のご紹介
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2016-09-15 田舎館村高樋遺跡
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2016-03-25 「新しい発見をすること」が科学者の目的ではない?
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2016-03-16 シンポジウム 「 食料は足りるのか 」の中の『人間と土壌 』
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2016-03-15 君が測っているのは地下水位?
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2016-03-09 ブログを始めます
http://mhk-koubou.com/index.php?%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0%2F2016-03-09
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