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ボール盤と旋盤、タップとダイス

ボール盤と旋盤

ボール盤と旋盤、タップとダイス

卓上ボール盤

 実験をする中で装置に穴をあける,穴をあけてパイプをいれる,下穴をあけてねじ山を切るなど穴あけ作業は多い。このようなときにボール盤があると大変便利である。プラスチックおよび金属材料に穴をあける場合には,ドリルの直径は1 mmから10 mmまで使えれば十分である。それよりも大きなドリルは余り使うことがない。特に,大きな穴を薄いプラスチック板にあけるときは割れる危険性が高いので,業者に任すと良い。また,木に穴をあけるには木工用ドリルを用いた方がきれいにあく。寸法の大きな木に,大きな穴をあけるには,クリックボールという道具を用いて手動で空けるとよい。
 卓上ボール盤は作業台の上に固定して使う。このとき,ドリルの先端の高さが低すぎて腰をかがめながらの作業にならないこと,逆に高すぎて切り屑が目に入ってしまうような高さにならないよう適切な高さとする。
 材料を手で押さえるために軍手をはめる,袖が開いている服を着ることは絶対に避ける。回転しているドリルに軍手や服が巻き込まれると大けがをする。革製の手袋は巻き込まれる恐れが少ないので,必要に応じて使う。
 テーブルに載せた材料の上面(穴をあける面)とドリル先端の差は5 mm程度と小さくすると,主軸送りハンドルを下げることで数センチの材料に穴をあけることが出来る。穴をあける材料には,あらかじめセンターポンチで印を付けておく。大きな穴をあけるときは,センターポンチの印を使って3 mm程度のドリルで浅く穴をあけておくと良い。小さな材料に穴をあける場合には手で押さえることが難しいのでミーリングバイスを用い,バイスをテーブルに固定する。材料が薄い場合にはドリルの先端が材料を突き抜ける際,材料に無理な力がかかり,丸い穴が開かないことに加え,材料が振り回されて思わぬ怪我をする危険がある。薄い材料の場合には,材料の下に同質の材料の切れ端をクランプ(しゃこ万力)やボルトなどで固定し,下の材料にも数ミリの深さで穴をあけるようにすることできれいな穴をあけることが出来る。
 プラスチック材料に深い穴をあける場合には,摩擦熱で材料が溶ける。このようなときは切削油をドリルにつけながら穴をあける
 直径が3 mm以上のドリルは作業中に折れることはまず無いが,これよりも小さなドリルは時々折れる。ドリルは消耗品であり,切れ味が悪くなったら交換する。良く用いられるドリル径は,1.0, 1.5, 2.0, 2.5, 3.0, 4.0, 5.0, 6.0 mmである。材料にあけた穴にネジを切る場合には,プラスチックや真鍮の場合にはネジのピッチだけ小さな下穴を開ける。具体的には2 mmネジには1.7 mmの下穴のように,3, 4, 5, 6 mmのネジを付けるための下穴のドリル径はそれぞれ,2.5, 3.3, 4.2, 5 mmである。そのため,下穴をあけるドリルも必要である。また,例えば,4 mmのステンレスパイプを器具に接続するようなときは,4.2 mmの穴を器具にあけてステンレスパイプを差し込みアラルダイトで充填接着することもあるので,多くのドリル径を持っていた方が便利である。

卓上旋盤
 私は旋盤の正しい使い方を習ったわけではなく,農業土木試験場(独,農村研の前身)の研究室に旋盤がボール盤と一緒にあったので,見様見真似で使うようになった。したがって,自己流の旋盤の使い方を紹介し,怪我でもされたら大事なので,旋盤の使い方を解説しない。代わって,旋盤をつかうとこのようなものができるということを紹介する。旋盤もボール盤と同じく動力で回転しているので,袖口が締められる服装を着用し,腕等が巻き込まれることが絶対にないようにする。また,手袋も巻き込まれる恐れがあるので着用しない。旋盤の大きさは,写真のように,最大5cm程度の丸棒をチャックで咬むことが出来,直径20mm程度の丸棒が主軸台を貫通できること,テーパーの付いたドリルが心押台に挿入できること程度の大きさが扱いやすい。
 旋盤に付けるバイトにはいくつかの種類がある。最も頻繁に使ったのは外径切削用(外丸削)である。このバイトは,金鋸で切った切断面を平滑にする,丸棒の直径を小さくするのに使う。金属材料としては真鍮が最も加工しやすい。アルミニウムは軟らかすぎ,ステンレスは硬すぎで加工しにくい。プラスチック材料としてはアクリル,塩ビとも加工しやすい。
 旋盤は基本的に丸棒の加工を行う。その利点は直径を1/10 mm以下の精度で容易に加工できることと切削面を長さ方向に対して直角に加工できることである。
 また,プラスチック管の場合には,正しい使い方ではないが,金鋸の刃のような鋼の板を用いて,例えば,ゴム栓が入りやすいように管の端をラッパ状にすることや面取りを行うことが出来ることである。
 以下に工作例を示そう。
テンシオメータのパイプの延長:ホームページのつなぐの項で触れたテンシオメータのパイプの延長についてもう一度触れておく。テンシオメータのパイプは通常,灰色か透明の塩ビパイプで出来ている。より深い土のマトリックポテンシャルを測定したいとき,手持ちのテンシオメータのパイプを長く出来れば便利である。塩ビパイプの内径は13 mm,外径は18 mmであるので,主軸台の貫通穴は18 mm以上でなければならない。まず延長する塩ビパイプの片端の20 mmを内径15.5 mmのドリルで広げる。塩ビパイプを旋盤に固定し,テーパー付きのドリルを心押台に挿入し,心押軸ハンドルを右に回転することで,塩ビ管の内径を広げる。ボール盤と異なり旋盤では材料が回転する。次に,素焼カップの付いているパイプの外径を外径切削用のバイトを用いて20 mmより少し短めの長さにわたり15.5 mmよりもほんの少し小さくする。往復台を自動送りにすることで切削表面はなめらかに仕上げることが出来る。素焼カップの付いた塩ビ管ともう一方の塩ビ管をはめ込んだとき,ガタが無い程度がよい。最後に塩ビ接着剤を塗り完成である。大きなガタが出来てしまった場合には,捨てるのはもったいないので,アラルダイトを用いて充填接着すると良い。
 丸棒に穴をあける:心押台にテーパーの付いたドリルチャックを挿入し,センタードリル(ドリル径は3ないし5 mm)をドリルチャックで締め,心押台軸のハンドルを回転させて材料の中心に深さ2~3 mmの穴をあける。次に目的の穴径のドリルをドリルチャックに固定して心押台軸のハンドルを回転させる(360°の回転で1 mm進む)ことにより穴をあけていく。穴の長さが長いときは,切りくずを出すために心押台軸のハンドルを逆に回転させてドリルに詰まった切りくずを落とす。また,プラスチック材料に穴をあけるときには,高温になったドリルで材料が溶けることがある。穴をあけた後の洗浄が面倒であるが,穴をあける際に切削オイルをドリルに付けることで防止できる。
 ホームページで紹介した器具の類で旋盤を利用して作られたのは,マリオット給水管の真鍮製の排水口,水分特性曲線加圧板法の自転車のバルブを用いた加圧口,不飽和透水係数測定装置のポーラスカップの固定器具,浸潤試験の給水部などである。
 最後に,切削屑は金属とプラスチックは分別して処分する。特に,金属屑の破片では手を切る危険があることに注意しなければならない。そのためには,旋盤使用後は必ず清掃をし,特に金属の切り屑をきちんと集めなくてはならない。

旋盤

 

[補記」
・小型旋盤の使い方のホームページがありました。参考にしてください。
http://www.japan-hobby-tool.com/column_mini-lathe/challenge001/

・ミニ旋盤はいくつか販売されています。
http://www.geocities.jp/jyyhw498/homepage-diy/diyloghouse040.htm
など

・「ミニ旋盤を使いこなす本」久島諦造著(誠文堂新光社)
もあります。

以上

 

              
タップとダイス
 取り外しが可能な部品を作る場合には,2つの部品をボルトとナットで締める,もしくは一方の材料にタップでねじ山を切ってボルトで締め付けることになる。ボルトの直径と下穴の直径は卓上ボール盤の項で触れたとおりである。タップは雌ねじを作る工具であり,ダイスは雄ねじを作る工具である。タップは下穴に沿って入れ,少し回転させてネジが切れたら戻すことを繰り返す。一度にネジを切ろうとするとタップが折れることがある。そして,折れたタップは取り除くことが出来ないことが多い。タップに付いた屑は真鍮ブラシなどで取り除く。雄ねじを作ることは余りないけれど,針金の先端にネジを切っておくと便利に使うことも出来る。丸棒に雄ねじを立てるときは,材料の先を円錐形にしてダイスが噛みやすいようにする。ねじ山は棒の長さ方向に対して直角に立てなければならない。これは,案外難しいことなので,慎重に行う。例えば,土を1 mm間隔で土をスライドさせたいときは,6 mmのミリネジを使うと,1回転で1 mm前進することから,ネジで試料を押すことにより精確な間隔で土をスライドさせることが出来る。

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